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ROEを活用して投資価値を見極める!~安定した配当収入への道~

ぱぱハム
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こんにちは、ぱぱハムです。

・なんでROEが高い企業が良い?
・ROEはどうやって計算する?
・ROEをどのように活用したらいい?

私は2019年から投資を始めましたが、上記の疑問に答えられるようになったのは、ごく最近のことです。

それまでは
「ROEが高ければいい企業」
という程度の認識で投資を行なっていました。

しかし、安定した配当を求めるのであれば、高いROEを維持できる企業を狙って投資するべきです。

この記事では、ROEの意味から、活用する際の注意点、ROAやDOEとの関係を解説します。
最後には、実際にROEを活用して安定した配当が期待できると判断した3銘柄を紹介します。

ROEが表す企業の稼ぐ力

ROEは「Return On Equity」の略で、日本語では自己資本利益率と訳されます。

自己資本に対してどれだけの利益を上げているかを数値化したものです。
一般的に10%を超えると優良企業であると判断されます。

自己資本の構成

自己資本とは、企業が持っている返済不要の資産のことで、貸借対照表でいうと右下にある「純資産」の部分にあたります。
具体的な構成は以下の通りです。

  • 資本金
    株主が出資した資金
  • 利益剰余金
    過去の事業活動で得た利益のうち、社内に蓄積されている資金
  • 資本剰余金
    株式の発行や自己株式の処分などによって生じた資金

ROEの高さ=投資価値の高さ

ROEは以下の計算式で算出されます。

ROE = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100

自己資本に対する当期純利益の割合がROEです。
企業がROEをあげるためには2つの要因が必要になります。
①当期純利益の増加
②自己資本の減少

1. 当期純利益の増加

企業が稼ぐ力を強化し、当期純利益が増加するとROEが上昇します。
効果を発揮しやすいのは、以下のような取り組みです。

  • 新商品の開発、販売
    新しい商品やサービスを市場に投入し、売上を拡大することで利益を伸ばす効果
  • 新規顧客および需要の開拓
    新しい市場や顧客層を獲得し、事業規模を拡大することで利益を伸ばす効果
  • M&A(企業の合併・買収)
    他社を買収することで、新たな収益源や技術を獲得し、利益を伸ばす効果
  • 設備導入によるコスト削減
    生産性向上や無駄の排除により、費用を削減し、利益率を高める効果

2. 自己資本の減少

企業が自己資本を活用して減少すると、ROEが上昇します。
自己資本の主な用途は、成長投資、配当金、自社株買いの3つで、いずれも株主にとって投資価値を高める活用法です。

  • 成長投資
    事業拡大のための設備導入やM&Aなど、将来の利益に繋がる投資を行う
  • 配当金
    利益の一部を株主に分配する
  • 自社株買い
    自社株式を市場から買い戻して発行済み株式数を減らし、一株当たりの利益を高める

ROEが高いということは、稼ぐ力が強く、増やした自己資本をさらなる成長投資に回したり、株主へ還元したりして、効率よく資金を活用しているという結果です。

ぱぱハム
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だからこそ「ROEが高い企業=投資価値の高い企業」と判断することができます。

ROE活用の注意点:負債が反映されない指標

仮にROEの数値が同じ企業があっても、自己資本比率は大きく異なる場合があります。
ROEは、企業の負債状況が反映されない指標だからです。

自己資本比率とは、自己資本と負債を合わせた総資産に対する自己資本の割合のことです。
負債を多く活用して純利益を増加させている企業は、自己資本に対する利益の割合が高くなるので、ROEが高く算出されます。

具体例を挙げてみましょう。

企業当期純利益自己資本負債自己資本比率ROE
A社10億円80億円20億円80%12.5%
B社10億円80億円120億円40%12.5%
ぱぱハム作成 ROEの参考例

A社とB社の当期純利益10億円、自己資本80億円なので、ROEはどちらも12.5%です。
一方で、B社の負債は120億円と、A社と比較しての6倍になっています。
さらに自己資本比率は、A社と比較して2分の1です。

ぱぱハム
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ROEだけを見ていると、A社とB社のような財務状況の違いを見落としてしまいます。

ROAは財務状況まで反映された指標

ROAは(Return on Assets)の略で、総資産利益率のことです。
以下の計算式で算出できます。

ROA = 当期純利益 ÷ 総資産 × 100

総資産は、企業が保有しているすべての資産のことです。
負債と純資産(自己資本)の合計で、貸借対照表では左側に記載されています。

ROAは総資産に対する当期純利益の割合なので、企業の財務状況まで反映された指標です。

先ほどのA社とB社の例にROAを追加して見てみましょう。

企業当期純利益自己資本負債自己資本比率ROE総資産ROA
A社10億円80億円20億円80%12.5%100億円10% 
B社10億円80億円120億円40%12.5%200億円5%
ぱぱハム作成 ROAの参考例

ROEが同じA社とB社ですが、ROAが高いのはA社です。
これは、ROAが
「負債を含む総資産に対する当期純利益の割合」
を表しているからです。

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ROEとROAを併用して比較することで、より深く企業の投資判断ができるようになります。

ROEとDOEの関係

近年、DOEを配当政策に採用する企業が増えています。
DOEとは自己資本配当率のことで、自己資本に対する配当金の割合を表した指標です。

以下の式で算出できます。
DOE = 配当金総額 ÷ 自己資本 × 100

DOEは、ROEとの関係が深く、安定した配当が期待できる企業を探す際に役立つ指標です。
・ROE=自己資本の〇〇%を稼いだ
・DOE=自己資本の〇〇%を配当金として支払う

ぱぱハム
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DOEの数値がROEの範囲内であれば、来期の自己資本は積み上がります。

DOE採用企業の自己資本と配当の関係

配当政策にDOEを採用している企業の場合、自己資本の積み上げは将来の増配に直結します。

自己資本100億円の企業が、ROE10%、DOE3%を5年継続した場合の例をみてみましょう。

1年目2年目3年目4年目5年目
自己資本100億円107億円114.5億円122.6億円131.2億円
当期純利益10億円10.7億円11.5億円12.3億円13.1億円
年間配当金3億円3.2億円3.4億円3.7億円3.94億円
ぱぱハム作成 自己資本100億円の企業がROE10%、DOE3%を継続した場合の例
  1. 1年間で自己資本に対して10%(10億円)を稼ぐ
  2. 自己資本に対して3%(3億円)を配当金として支払う
  3. 残りの7%(7億円)は来年の自己資本に積み上げ
  4. 1.〜3.により翌年の自己資本は107億円に増える
  5. 2年目もROEが10%を維持できると仮定した場合の当期純利益は10.7億円
  6. 年間配当金は107億円の3%となり3.2億円に増える

表をみるとわかる通り、年間配当は5年目で31.3%の増配になります。

ぱぱハム
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ROEからDOEを引いた値がプラスで維持されていれば、毎年の増配が期待できます。

高ROE×DOE採用の安定配当が期待できる企業

過去のROE水準が高く、配当政策にDOEを採用している銘柄を3つ紹介します。

  • クエスト (2332)
    • 過去5年平均ROE: 11.26%
    • DOE: 4%
  • ゼネラルパッカー(6267)
    • 過去5年平均ROE: 12.35%
    • DOE: 3%
  • ニチアス (5393)
    • 過去5年平均ROE: 12.60%
    • DOE: 3.5%

過去5年平均ROEはIR BANKを参照
DOEは2025年6月28日現在の企業HP記載情報を参照

これらの銘柄は、過去のROEから見て稼ぐ力があり、配当政策にDOEを採用しているため、長期的な視点で安定した配当が期待できます。

まとめ

東京証券取引所からの要請があり、多くの日本企業が「株主資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を強化しています。
この流れは、投資家にとって歓迎すべきものです。
特にROEの向上は、多くの企業が掲げる目標になっています。

ROEを深く理解できれば、企業の投資価値を見極める際に役立ちます。
特にROEとDOEの関係は、安定した配当金を確保するために知っておくべき内容です。

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